神々の宿る神聖な山

宮之浦集落の岳参り。宮之浦岳山頂にある、祠に祈りを捧げている様子©さとかわ
日本の各地のみならず、世界中の山に係わりながら生活する民族がもつ自然に対する畏敬の念、厳しい自然を恐れ敬う感情などから、山に霊力がある、叉は山に神が住むと信じ、山そのものを崇拝の対象とする山岳信仰。
屋久島における山岳信仰は特徴的で、それぞれの集落に流れ込む川の上流に位置する山をそれぞれの御嶽(御岳・みたけ)とし、例えば宮之浦岳が宮之浦の御嶽であるように、山の名を集落の名として拝領しています。(集落の名が山の名になったという逆の説もあります。)
江戸後期、薩摩10代藩主・島津斉興によって天保年間にまとめられた「三国名勝図會」によると「御嶽に三あり。一曰宮浦嶽、二曰長田嶽、三曰栗生嶽…」とあり、奥岳の五岳の中でも宮之浦岳・永田岳・黒味岳の“三岳信仰”との記述がありますが、楠川前岳が楠川の御嶽であるように、前岳もその対象になっています。
御嶽は益救神社の奥宮として毎年参拝され、参詣の道となる森林に控える巨木は神木、神の化身として、ヤクシカは神の使いとしてそれぞれ崇められていて、ヤクシマの名そのものも益救神社から拝領したとされています。
かなりかいつまんでいます。興味のある方は“益救神社”、“三国名勝図會”で調べてみてください。
度合いの強弱は別として、とても多くの島人が今も「山は神の聖域」と思っています。中には女性の登山者を快く思っていない人もいるとか。
大切にしてきた山・森を楽しませていただく、感謝の気持ちを忘れないように~